2023年05月30日

吟行句

鳰の子60号より


広島平和公園にて

大き河越え県を越え桜かな    多鶴子
惜しみなく花を散らすや祈りの地 多鶴子
被爆地のどれもすくすく松の芯  多鶴子
翅を持つものただよひぬ花ぐもり 多鶴子
花万朶この世に核は許すまじ   多鶴子
被爆地の黒き母子像かぎろへる  多鶴子
つぎはぎの原爆ドーム新樹光   多鶴子
千羽鶴持ち来る人や水温む    くに男
すくと立つ白花たんぽぽ被爆の地 敦子
むき出しの鉄骨ささる四月かな  壯夫
水を買ふ花の原爆ドーム前    順子
被爆樹の瘤の隙間にひこばゆる  文子
春逝くや被爆の人の名と写真   伯雲
鳥ぐもり墓山の下に碑のありて  あさみ
地の下にも焦土の色や春寒し   京治
円かなる芝生に春日供養塔    美佐子
陽炎や幼きころに戦あり     洋子



posted by 鳰の子俳句会 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 吟行句 | 更新情報をチェックする